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2015年7月15日 (水)

昔の原稿2005年2月版(DVDコピーは違法?)

2005年2月に書いた雑誌用の原稿です。ご参考までに。

なお、当時の法律等に基づいていますので現在の法律や判例、ガイドライン、解釈と異なる可能性があります。

この分野は合法だった行為が違法になったりして本当に変わってしまいました

あくまで「過去の原稿」ということをご了承ください。

DVDコピー(マクロビジョンの解除)は違法で、DVDリッピング

CSSの解除)は合法というのは本当?

 

 本当です。マクロビジョンの信号を除去して無断複製することは著作権法違反になりますが、CSSの解除そのものは著作権法違反にはならないからです。ただ、事案によってはCSSの解除が民法上違法とされる可能性もあります。

 

CSSの解除はなぜ著作権法違反にあたらないのか?

 

 DVDの無断複製を放置したり、有料衛星放送のスクランブル解除受信機を放置したりすれば権利者の利益は減少します。したがって、権利者側は対価徴収を確保するために、コンテンツに無断複製や無断視聴を防止する手段を施しています。この手段は二つの種類に分けられます。一つはコピーコントロールと呼ばれるもので、もう一つはアクセスコントロールと呼ばれるものです。

 

コピーコントロールとは?

 

 簡単にいうとコピーを妨害する信号を映像などのコンテンツと一緒にビデオやDVDなどの記録媒体に記録し、コピーすることを妨げることをいいます。

 コピーコントロールの例としては、ビデオやDVDに用いられているマクロビジョン方式(ダビングしても見るに耐えない画像になってしまう)、MDなどに用いられているSCMS(Serial Copy Management System、1回だけコピーを認める)、DVDに用いられているCGMS(Copy Generation Management System、コピーを認めないこともコピーを認めることもできる)などがあります。

 

アクセスコントロールとは?

 

 今回問題になっているCSS(Content Scrambling System)がこれに該当します。アクセスコントロールは映像信号などを変換し(暗号化、スクランブル)、無断使用や無断視聴などを防ぐことをいいます。

 アクセスコントロールの例としては、CATVや有料衛星放送が用いているスクランブル方式、DVDに用いられているCSS方式があります。

 

著作権法は何を違法としているのか?

 

 著作権法は基本的には複製権を中心としており、無断複製を禁止していますが著作物の使用、視聴は禁止していません。本を読むのに著作権者の許諾は必要ありませんし、隣の家のケーブルテレビを無断で窓越しに眺めていたからといって、著作権侵害は成立しません。

 著作権法30条1項2号は「技術的保護手段の回避」(条文上は「技術的保護手段に用いられている信号の除去又は改変」。アクセスコントロール回避は、信号の除去や改変はしない)によって行う複製は仮に私的使用目的であったとしても違法な複製になるとしています。

この「技術的保護手段」はコピーコントロールだけを意味していてアクセスコントロールを含んでいません(「技術的保護手段」=「機器が特定の反応をする信号を著作物、実演、レコード又は放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像とともに記録媒体に記録し、又は送信する方式著作権法2条1項20号、具体的にはマクロビジョンなど)。したがって、アクセスコントロールを回避して、その結果複製が可能になった場合には、コピーコントロールを回避していない限り著作権法上は違法ではないということになってしまうのです。つまりCSSの解除を行っても著作権法上違法にはならないが、マクロビジョンやCGMSなどのコピーコントロール信号をコピーガードキャンセラーなどを使って除去し、無断複製行為を行えば、たとえ私的使用目的であったとしても違法な複製になるということになります。

 

ではCSSの解除は規制されていないのか?

 

 実はCSSの解除、つまりアクセスコントロールの回避を問題にしている法律があります。それは不正競争防止法です。不正競争防止法2条1項10号は、「技術的制限手段」(著作権法の技術的保護手段と異なりコピーコントロールだけでなくアクセスコントロールも含まれる)の効果を妨げる機能のみを有すると認められる装置(この装置を組み込んだ機器、たとえばコピーガードキャンセラーが組み込まれたレコーダーやスクランブル解除装置が組み込まれた受信機)の譲渡や輸入・輸出、この機能を有するプログラムをインターネット等の電気通信回線を通じて提供する行為を「不正競争」としています(試験又は研究の場合は除かれます)。

 つまり、不正競争防止法は譲渡等の行為を規制しているのであって、ユーザーがこれらの装置やプログラムを用いて技術的制限手段の行為を妨げる行為を行っても不正競争とはなりません。

 したがって、不正競争防止法でもユーザーによるCSSの解除は規制されていないことになります。

 

・今後CSS解除が違法になる可能性はあるのか?

 著作権法がアクセスコントロールの回避を問題とせずコピーコントロールの回避による無断複製を問題にし、不正競争防止法がコピーコントロールやアクセスコントロールを回避する装置やプログラムの譲渡等だけを「不正競争」としている現在の状況ではCSSの解除は違法ではありません。

しかしながら、CSS解除が何に使われているかというと最終的にはDVDの複製やファイル交換です。実質的にはコピーコントロール回避の機能を有しているといえないことはありません。実際にCSS解除によって行われるDVDの無断複製は、著作権法上のコピーコントロールを回避した無断複製行為と同様の機能を有しているので私的使用目的であったとしても著作権法上違法であるという見解もないわけではありません。

CSSの解除による権利者の損失が無視できない程度に広まれば、今後何らかの規制がなされてもおかしくはないでしょう。

 

 

条文

 

著作権法

(定義)

第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(略)

二十  技術的保護手段 電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法(次号において「電磁的方法」という。)により、第十七条第一項に規定する著作者人格権若しくは著作権又は第八十九条第一項に規定する実演家人格権若しくは同条第六項に規定する著作隣接権(以下この号において「著作権等」という。)を侵害する行為の防止又は抑止(著作権等を侵害する行為の結果に著しい障害を生じさせることによる当該行為の抑止をいう。第三十条第一項第二号において同じ。)をする手段(著作権等を有する者の意思に基づくことなく用いられているものを除く。)であつて、著作物、実演、レコード、放送又は有線放送(次号において「著作物等」という。)の利用(著作者又は実演家の同意を得ないで行つたとしたならば著作者人格権又は実演家人格権の侵害となるべき行為を含む。)に際しこれに用いられる機器が特定の反応をする信号を著作物、実演、レコード又は放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像とともに記録媒体に記録し、又は送信する方式によるものをいう。

 

(私的使用のための複製)

第三十条  著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。

  略

  技術的保護手段の回避(技術的保護手段に用いられている信号の除去又は改変(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による除去又は改変を除く。)を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすることをいう。第百二十条の二第一号及び第二号において同じ。)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合

 

不正競争防止法

(定義)

第二条  この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。

  営業上用いられている技術的制限手段(他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録をさせないために用いているものを除く。)により制限されている影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能のみを有する装置(当該装置を組み込んだ機器を含む。)若しくは当該機能のみを有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、又は当該機能のみを有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する行為

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