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2015年8月12日 (水)

昔の原稿2006年10月版(著作権の保護期間)

2006年10月に書いた雑誌用の原稿です。ご参考までに。

なお、当時の法律等に基づいていますので現在の法律や判例、ガイドライン、解釈と異なる可能性があります。

あくまで「過去の原稿」ということをご了承ください

青空文庫のように過去の文学作品を公開しているサイトは著作権法上、問題がないのか?

 

 著作権の存続期間は、原則として著作者の生存している間はもちろん、著作者の死後50年間です。この期間が経過した後はいわゆるパブリックドメインとして利用できる状態になりますから、一定の例外を除き、公開することができると考えられます。

 

著作権保護期間とは何か?

 

 著作権法は、「文化の発展に寄与することを目的」(著作権法1条)としています。著作者に著作権を独占させて、創作する意欲を保護しているともいえます。一方、著作物がそれまでの文化や創造の積み重ねの上に成り立っている以上、いつまでも著作者に権利を独占させることは逆に文化の発展を阻害する結果になりかねません。そこで、著作権法は保護期間を設けて、著作権を独占できる期間を限定しています。著作権に限らず、特許や実用新案にも存続期間が設けられています。

 著作権の保護期間は、著作物が創作されたときから、著作者の「死後」50年を経過するまでの間と定められています(同法51条)。会社などの法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作権の存続期間は、「公表後」50年を経過するまでの間と定められています(同法53条1項)。最近、「ローマの休日」のDVDの販売差止騒動などで報道されているとおり、映画の著作物の保護期間は公表後50年から70年に延長されています(同法54条1項)。

 保護期間の計算方法ですが、著作者が死亡した年、または著作物が公表され、もしくは創作された年の翌年から起算します(同法57条)。例えば、2006年11月に著作者が死亡した場合、その著作物の保護期間は2007年1月1日から起算して50年間、つまり、2056年12月31日の夜中12時の経過までということになります。

 

著作権が切れた映画や制作会社がすでに存在しないゲームをファイル共有でアップロードしても問題がないのか?

 

 著作権の保護期間が経過した映画については原則としてアップロードしても問題はないといえます。なお、「著作権」の保護期間が経過したとしても「著作者人格権」は保護期間がありません。著作者人格権を侵害するような行為は、条文の文言上は永遠に禁止されています(同法60条本文)。著作者人格権は具体的には公表権(同法18条1項)、氏名表示権(同法19条1項)、同一性保持権(同法20条1項)などです。ですから、例えば、著作権が切れているとしても、著作物を改変して同一性保持権を侵害することはできません。もっとも、形式的には著作者人格権の侵害に該当するとしても、実質的には特に問題がないといえるケースもあると思われます。そこで著作権法は「その行為の性質及び程度、社会的事情の変動その他によりその行為が当該著作者の意を害しないと認められる場合は、この限りでない。」(同法60条但書)と定めており一定の場合には許されるものとしています。

 制作会社がすでに存在しないゲームの場合ですが、この場合には慎重に判断する必要があります。

 まず、著作権が消滅しているかどうかを判断する必要があります。実は、著作権法62条は、著作権の消滅について規定しています。例えば、著作権者が死亡して、相続人がなく、相続財産が国庫に帰属するような場合や、著作権者である会社などの法人が解散して、その財産が国庫に帰属するような場合です。このような場合に、著作権を国有財産として国が著作権を行使するのではなく、いわゆるパブリックドメインとして広く利用できるようにしているのです。

 会社などの法人が存在しなくなった、というケースの場合、いろいろなケースが考えられます。例えば、どこかの会社に吸収されてしまった場合、単に社名が変わっただけの場合、事実上休眠状態になってそのまま数年たっている場合、倒産してしまった場合、清算の手続きをした場合などです。

 どこかの会社に吸収されてしまったり、単に社名が変わっただけの場合であれば、著作権は消滅していないと考えられますから、アップロードすることは違法ということになります。事実上休眠状態になってしまったケースですが、休眠しているだけでは、著作権は消滅していません。清算の手続きを終了した場合ですが、終了する前にどこか別に会社に著作権を譲渡している可能性もあります。また、著作権が質権などの担保の目的物となっている場合もあるでしょう。このような場合にはやはり著作権は消滅していないと考えられます。倒産した場合には、破産管財人などが著作権を同業者などに譲渡しているということも考えられます。

 会社が著作権者の場合、正式に国庫に帰属するような状態になっているとしても、それ以前に著作権を譲渡しているのではないか、担保になっているのではないか、などの確認がよっぽどしっかりできているのでなければ著作権が消滅したとはいえないでしょう。安易に著作権が消滅したと思いこんでゲームをアップロードした結果、違法と判断される可能性があります。制作会社がすでに存在しないからといってゲームをアップロードするのはやめるべきでしょう。

 

条文

著作権法

(保護期間の原則)

第五十一条  著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる。

  著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。次条第一項において同じ。)五十年を経過するまでの間、存続する。

(団体名義の著作物の保護期間)

第五十三条  法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作権は、その著作物の公表後五十年(その著作物がその創作後五十年以内に公表されなかつたときは、その創作後五十年)を経過するまでの間、存続する。

  略

  略

 

(映画の著作物の保護期間)

第五十四条  映画の著作物の著作権は、その著作物の公表後七十年(その著作物がその創作後七十年以内に公表されなかつたときは、その創作後七十年)を経過するまでの間、存続する。

  略

3  略

 

(相続人の不存在の場合等における著作権の消滅)

第六十二条  著作権は、次に掲げる場合には、消滅する。

  著作権者が死亡した場合において、その著作権が民法 (明治二十九年法律第八十九号)第九百五十九条 (残余財産の国庫への帰属)の規定により国庫に帰属すべきこととなるとき。

  著作権者である法人が解散した場合において、その著作権が民法第七十二条第三項 (残余財産の国庫への帰属)その他これに準ずる法律の規定により国庫に帰属すべきこととなるとき。

  略

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