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2015年8月 3日 (月)

昔の原稿2006年3月版(未成年とインターネット犯罪)

2006年3月に書いた雑誌用の原稿です。ご参考までに。

なお、当時の法律等に基づいていますので現在の法律や判例、ガイドライン、解釈と異なる可能性があります。

あくまで「過去の原稿」ということをご了承ください

●未成年とインターネット犯罪

・未成年が出会い系サイトやアダルトサイトを見て、請求を受けた。身に覚えがある場合は料金を支払わなければならないのか?

 

民法上の成年は20歳です(民法4条)。20歳未満の者を未成年といいます。未成年の場合には成人の場合と異なって、その法定代理人(親など)の同意を得なければ契約をすることはできません(民法5条1項)。これに反して契約をした場合には、基本的には契約を取り消すことができます(民法5条2項)。ただ、未成年であるにもかかわらず、成人のふりをして契約をした場合には、契約を取り消すことができません(民法21条)。民法21条により取り消すことができない場合には、成人の場合と同様の流れになります。

 成人でも未成年でも、アダルトサイトを利用した場合に、本当に利用したサイトから請求されているのかどうか不明な場合には、請求を無視するのが基本です。別の業者からの架空請求かもしれません。いちいち対応して自分の個人情報をこれ以上業者に渡す必要はありません。

 では一度は利用してしまったことが明らかなサイトの業者から請求が来た場合はどうでしょうか。サイトにもよりますが、悪質な業者ということはないですか?例えば、無料という広告につられてクリックしたらいきなり料金を請求されたとか、申込みの前に確認の画面がないとか、料金体系が非常にわかりにくく支払いが遅れると異常に高い損害金を取られることになっているとか。

電子消費者契約法3条では、事業者側が消費者の真意を確認するきちんとした措置を講じていない限り(ちゃんとしたサイトなどではきちんと意思確認のページがあらわれます)、消費者に重過失があったとしても錯誤(民法95条)の成立を認めています。錯誤が成立すれば契約の申込みは無効となりますので料金を支払う必要はありません。また消費者契約法で契約を取り消すことが可能です。この場合にも料金を支払う必要はありません。

異常に高い損害金については消費者契約法9条2号が年14.6パーセントを超える遅延損害金は無効としています。

 

・未成年が自分のHPで児童ポルノ画像を公開するのは違法行為か?

 

 児童ポルノ画像をHPで公開することは児童買春・児童ポルノ禁止法7条4項に該当します。罰則としては、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金(懲役と罰金の両方を科す場合もある)があります。わいせつ物頒布等の罪(刑法175条)は、2年以下の懲役又は250万円以下の罰金若しくは科料という罰則になっており、児童買春・児童ポルノ禁止法の方が重いということになります。またHPで公開するのではなく、メールなどで児童ポルノを提供する場合には児童買春・児童ポルノ禁止法7条1項に該当し、こちらは3年以下の懲役又は300万円以下の罰金という罰則があります。

 未成年が犯罪行為を行った場合でも違法は違法です。ただし、「14歳に満たない者の行為は、罰しない」とされていますので(刑事責任能力がない、刑法41条)、14歳未満の場合には違法な行為であっても現在の法律では罰せられることはありません。ただし、少年法3条は「14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年」については都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けた場合には家庭裁判所の審判に付するとしていますので、法律上は、まったくフリーというわけではありません。

では14歳以上20歳未満の場合にはどうなるでしょうか。こちらも少年法の定める流れに従って処分されることになります。

仮に逮捕された場合の流れをおおまかに説明すると、逮捕から48時間以内に検察官に送致、勾留あるいは勾留に代わる観護措置を経て家庭裁判所に送致、家庭裁判所から観護措置(鑑別所)、その後家庭裁判所の審判を受け、不処分、試験観察、保護処分(保護観察、少年院送致)、あるいは検察官送致(逆送)となります。検察官送致された場合にはさらに起訴あるいは不起訴という流れになります。

 

・未成年が自分のHPで爆弾製造法など過激な裏情報を公開するのは違法行為か?

 

 憲法21条は表現の自由を保障しています。しかしながら表現の自由は無制限ではなく、他人の人権を侵害するような場合などには当然制限を受けます。例えば、表現の自由があるからといってHP上で他人を中傷する場合には、他人の名誉を傷つけることになりますから、名誉毀損として違法になりますし、わいせつ物や児童ポルノを提供することも表現の自由の一つではあるとしても法律上禁止されています。これは成人でも未成年でも同じです。

 では、自分のHPで爆弾製造法など過激な裏情報を公開することは法律上制限されているかですが、私の知る範囲ではそのような法律は見受けられません。ですから違法とまではいいにくいでしょう。ただ、自殺サイトのケースでも問題になりましたが、このようなサイトを禁止せよという意見もないわけではありません。将来にわたって合法であるとまでは言い切れません。

 

条文

民法

(成年)

第四条  年齢二十歳をもって、成年とする。

(未成年者の法律行為)

第五条  未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。

  前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。

  第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

(制限行為能力者の詐術)

第二十一条  制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。

 

児童買春・児童ポルノ禁止法

(児童ポルノ提供等)

第七条  児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。

2、3   略 

  児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。

 

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