執筆,監修,その他少し関与(しただけ)した本です

2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ

最近のトラックバック

« 昔の原稿2006年6月版(Winny通信規制 ) | トップページ | 昔の原稿2006年8月版(ブラックウォーム) »

2015年8月 7日 (金)

昔の原稿2006年7月版(動画アップロードサイト)

2006年7月に書いた雑誌用の原稿です。ご参考までに。

なお、当時の法律等に基づいていますので現在の法律や判例、ガイドライン、解釈と異なる可能性があります。

あくまで「過去の原稿」ということをご了承ください

●動画アップロードサイト

・海外サイトに日本のTV番組など著作権のある動画をアップロードするのは違法?

 

 日本のテレビ番組、例えばドラマを権利者に無断でアップロードするような場合には、ドラマに関わる著作権者の公衆送信権(自動公衆送信の場合には送信可能化権を含む)や著作隣接権者の送信可能化権を侵害し違法となります。

ドラマは「映画の著作物」(著作権法2条3項、10条1項7号)に該当します。映画に関わる著作権者には、例えばテレビ局と放送番組制作会社(プロダクション)などがあります(同法16条、15条1項、29条1項など)。それだけではなく、原作者、脚本家、ドラマの中で使われる音楽の作曲家、作詞家なども、映画に関わる著作権者といえます(これらはクラシカル・オーサーと呼ばれています)。また、実演家(例えば、俳優、ドラマの中で使われる音楽を演奏する演奏家や歌手)には著作隣接権があります(同法2条1項4号、90条の2以下)。

 それぞれの著作権者には公衆送信権(同法23条)および複製権(同法21条)があります。公衆送信とは、公衆によって直接受信されることを目的として無線又は有線電気通信を行うことをいいます(同法2条1項7号の2)。具体的には、サーバーにおいたファイルをダウンロードさせることがこれに該当します。また、著作隣接権者には送信可能化権(同法2条1項9号の5、92条の2など)があります。送信可能化とは、自動公衆送信装置の記録媒体に情報を記録するなどして自動公衆送信し得るようにすることをいいます(同法2条1項9号の5)。具体的には、サーバーにファイルをおいてダウンロードできる状態にすることが該当します。ドラマの動画をアップロードすることは、サーバーに動画ファイルを複製し動画ファイルを送信可能化することですし、実際にダウンロードさせることは公衆送信をすることになりますから、これらの権利を侵害することになり、違法ということになります。

民事の面では、損害賠償責任(民法709条)を負うことになり、また権利者から差止請求を受ける可能性もあります(著作権法112条)。

刑事の面では、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金を科されることがあります(同法119条)。

 

 

・海外の動画アップロードサイトにアップされている著作権動画をダウンロードするのは違法?

 

 日本の著作権法を前提に考えてみましょう(海外で製作された映画などの動画は、ベルヌ条約などによって、日本の著作権法の保護が及ぶケースが多いと考えられます)。

 まず、動画の著作権者などの同意を得ずに動画をアップロードすることは著作権者の公衆送信権や複製権、著作隣接権者の送信可能化権を侵害することは前述のとおりです。

 では、アップロードされている動画をダウンロードすることは違法となるでしょうか。通常はダウンロードするだけでは、送信可能化にも自動公衆送信にも該当しません(Winnyのキャッシュなどの場合には該当する可能性がありますが)。ダウンロードするということは、サーバーにおいてあるファイルを自分のPCなどに複製するということになります。複製することは、著作権者の専有とされています(同法21条)。したがって、本来であれば、権利者の許諾がなければ複製権を侵害することになります。

 しかしながら、著作権法30条1項は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とするときは、技術的保護手段を回避したなどの場合を除いて、複製することを認めています。したがって、このような場合についてはダウンロードすることは違法ではないといえます。

 ただし、私的使用目的でダウンロードしたファイルであっても、私的使用目的以外の目的で使用する場合には複製権の侵害となりますし(同法49条1項1号、102条4項1号)、ダウンロードしたファイルがそのままファイル交換のためのフォルダに保管され、アップロードされるような状態におかれるとすれば(自分のPCがファイルを送信するように送信可能化されているとすれば)、ダウンロード行為であっても私的使用目的ではないと判断され、違法となる可能性がありますから注意が必要です。

 

・海外の動画アップロードサイトにアップされている個人撮影動画をダウンロードして、自分のHPにアップしてもよい?

 

 個人撮影の動画であっても、通常は「著作物」であり(同法2条1項1号)、「映画の著作物」に該当すると思われます(同法2条3項)。個人の撮影者は「著作者」であり、著作権者ということになります。

アップロードされた動画をダウンロードする行為は前述したとおり、私的使用目的である限りは複製権を侵害せず、違法とはいえません。

 しかしながら、著作権者である個人の撮影者の許諾を得ずに、ダウンロードした動画を自分のHPにアップロードする行為は、違法といえます。このような行為は、私的使用目的の範囲外ですから複製権の侵害ですし(同法49条1項1号)、アップロードする行為そのものも公衆送信権(同法23条1項)を侵害することになるからです。

YouTubeのような動画サイトの利用については、以上の点を注意してください。

 

 

条文

 

民法

(不法行為による損害賠償)

第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

著作権法

(複製権)

第二十一条  著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。

 

(公衆送信権等)

第二十三条  著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。

  著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。

 

(私的使用のための複製)

第三十条  著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。

  略

  技術的保護手段の回避(略)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合

 

第百十九条  次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

  著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害した者(略)

  略

« 昔の原稿2006年6月版(Winny通信規制 ) | トップページ | 昔の原稿2006年8月版(ブラックウォーム) »

「法律」カテゴリの記事