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2017年5月23日 (火)

人工知能(AI)の保護(知的財産)と種苗法?

1 昨日第二東京弁護士会知的財産法研究会に参加しました。
奥邨弘司教授の講演(人工知能と知的財産権・序論)があり大変興味深く話を聞きました。
人工知能の保護に使える可能性があるのは特許権、著作権、営業秘密であるとのことでした。

 

2 どのように学習済みの人工知能が判断しているかの詳細についてはよくわからないこともあるようです。
完全には仕組みが説明できない内部の挙動のある人工知能の話を聞いていて種苗法の登録を思い出しました。
種苗法は「新品種の保護のための品種登録に関する制度、指定種苗の表示に関する規制等について定めることにより、品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的とする」法律です(第1条)。

 

3 種苗法では植物の新品種の品種登録ができます。
既存品種とは異なる、「重要な形質にかかる特性」が他の植物体と区別されるものが新品種とされます。
この特性の異同は「遺伝子型の異同とは同義ではない」とのことです(渋谷達紀「種苗法の概要」14頁)。
古い裁判例ですが、「科学的な研究の進展がえのきたけ等の遺伝的因子等の判断を容易にしているものであり、これらの研究成果も可能な限り品種の同一性の判断に取り入れることは望ましいことではあるが、種苗法が、飽くまで「重要な形質に係る特性」によって区別性を判断する建前を採っていること(一条の二第四項)、さらに、科学的な研究が表面に顕れた特性と遺伝的因子とのつながりをすべて解明しているわけではないと認められることに照らすと、科学的な基準は飽くまで特性によって区別性を判断するに当たり、補助的な位置を占めるものと解さざるを得ない。」(東京高等裁判所 平成8年(ネ)第873号 種菌有償譲渡行為差止等請求控訴事件 平成9年2月27日判決)という判決もあります。

 

「表面に顕れた特性と遺伝的因子とのつながりをすべて解明しているわけではない」場合でもその特性を保護する種苗法のようなものがあるので、特許法、著作権法、不正競争防止法で保護しきれないようであれば、種苗法にならって、完全に仕組みがわからない人工知能であっても保護する制度というのもありうるのかもしれません。

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