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法律

2017年5月23日 (火)

人工知能(AI)の保護(知的財産)と種苗法?

1 昨日第二東京弁護士会知的財産法研究会に参加しました。
奥邨弘司教授の講演(人工知能と知的財産権・序論)があり大変興味深く話を聞きました。
人工知能の保護に使える可能性があるのは特許権、著作権、営業秘密であるとのことでした。

 

2 どのように学習済みの人工知能が判断しているかの詳細についてはよくわからないこともあるようです。
完全には仕組みが説明できない内部の挙動のある人工知能の話を聞いていて種苗法の登録を思い出しました。
種苗法は「新品種の保護のための品種登録に関する制度、指定種苗の表示に関する規制等について定めることにより、品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的とする」法律です(第1条)。

 

3 種苗法では植物の新品種の品種登録ができます。
既存品種とは異なる、「重要な形質にかかる特性」が他の植物体と区別されるものが新品種とされます。
この特性の異同は「遺伝子型の異同とは同義ではない」とのことです(渋谷達紀「種苗法の概要」14頁)。
古い裁判例ですが、「科学的な研究の進展がえのきたけ等の遺伝的因子等の判断を容易にしているものであり、これらの研究成果も可能な限り品種の同一性の判断に取り入れることは望ましいことではあるが、種苗法が、飽くまで「重要な形質に係る特性」によって区別性を判断する建前を採っていること(一条の二第四項)、さらに、科学的な研究が表面に顕れた特性と遺伝的因子とのつながりをすべて解明しているわけではないと認められることに照らすと、科学的な基準は飽くまで特性によって区別性を判断するに当たり、補助的な位置を占めるものと解さざるを得ない。」(東京高等裁判所 平成8年(ネ)第873号 種菌有償譲渡行為差止等請求控訴事件 平成9年2月27日判決)という判決もあります。

 

「表面に顕れた特性と遺伝的因子とのつながりをすべて解明しているわけではない」場合でもその特性を保護する種苗法のようなものがあるので、特許法、著作権法、不正競争防止法で保護しきれないようであれば、種苗法にならって、完全に仕組みがわからない人工知能であっても保護する制度というのもありうるのかもしれません。

2015年8月27日 (木)

昔の原稿2001年11月版(会社で上司にサーバのメールを見られてしまったのだが?他)

2001年11月に書いた雑誌用の原稿です。ご参考までに。

なお、当時の法律等に基づいていますので現在の法律や判例、ガイドライン、解釈と異なる可能性があります。

あくまで「過去の原稿」ということをご了承ください。

Q05会社で上司にサーバのメールを見られてしまったのだが?
A会社側が従業員の私的メール使用を認めている場合にはプライバシー侵害となる場合もありますが、そうでない場合に必ずプライバシー侵害になるとはいえません。会社のメールは会社の業務に使われるために設けられているものであって、上司がサーバのメールを閲覧することは違法ではないと思われます。なお、上司のメール閲覧は有線電気通信法上違法になるという見解もあります。会社としてはメールに関するルールを確立し、正当な理由がある場合には従業員のメールをモニターすることがあるということを周知徹底させるべきですし、事前に従業員の同意をとっておくべきでしょう。

Q06Webの匿名掲示板の書き込みに著作権はあるのか?
A匿名であろうと掲示板の書き込み内容が著作物といえるのであれば著作権はあります。著作権法19条1項は、「著作者は(中略)その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。」と定めています。したがって書き込み内容に著作権があるかどうかは匿名かどうかではなく、あくまでも書き込まれた内容が著作物(思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲の属するものをいう。著作権法2条1項1号)といえるかどうかの問題になります。なお、匿名の場合、著作権法14条の著作者の推定がされませんので、著作者が実際にその著作物を創作したことを立証する必要があります。

Q11ニュースサイトにある記事をコピー&ペーストして自分のHPや掲示板に張るのは?(引用といえるかどうか)
Aニュースサイトにある記事が単なる事実の報道にとどまらない「著作物」であって、正当な「引用」にあたらない場合には違法です。まず、ニュースサイトにある記事が「著作物」といえるかどうかですが、単なる死亡記事のように「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」は、「著作物」とはいえませんが、通常の新聞記事のように内容の取捨選択、表現等に創作性があれば、「著作物」といえます。また、著作権法32条1項に定める「引用」といえるためには、引用する側の著作物と引用された著作物とが明瞭に区別できること、引用する側の著作物と引用された著作物に主従関係があること、著作者人格権を侵害するような態様で引用しないこと、出所を明示することが必要となります。

Q13アニメのページを開く場合、「著作権に問題がある場合には削除しますのでご一報ください」と書いておけば、絵は載せていい?
A著作者の許諾なく絵をホームページ上に公開するのは、著作者の複製権、公衆送信権を侵害するので違法です。データをサーバにアップロードし、アクセス可能な状態にしておくだけで違法になりますから、「著作権に問題がある場合には削除しますのでご一報ください」と書いておいたとしても、合法とはいえません。

Q20海外のサーバを利用している人は、日本の法律に従わなくてもよい?
A インターネット上で行われる行為についてどの国の法律が適用されどの国に裁判の管轄権があるのかは一概にはいえない問題です。日本から海外のサーバを利用している場合には日本の法律に従う必要がある場合もあります。例えば、日本から操作して海外のサーバに賭博場を開設するような場合には、賭博場開帳図利罪の実行行為の一部が日本で行われたと判断され、日本の刑法が適用される可能性がありますし、わいせつな写真を日本から海外のサーバにアップロードした場合にはわいせつ図画公然陳列罪に問われる可能性もあります。国内業者のインターネットを利用した国内向けの通信販売についても、景品表示法や訪問販売法などの適用が考えられます。

Q21いわゆる「放送禁止用語」(キ○ガイなどの差別用語等)をHPで使ってもよいか?
Aいわゆる「放送禁止用語」といわれているものは、あくまでも自主的な規制であってHP上で使っていけないということではありません。しかし、HP上で使用する場合には法律上の責任を問われなくても人に不快感を与える場合もありますので、注意して使う必要があると思われます。なお、具体的な人物と関連づけて使用する場合には、名誉毀損罪・侮辱罪が成立する可能性がありますし、民法上の不法行為責任が生ずる場合もあります。

Q22「無断リンクは禁止します」というサイトへ自分のHPから勝手にリンクさせると?
A、リンクすること自体は複製権や公衆送信権の侵害にはなりません。また、リンクされない権利というものは現在のところ法的な権利とはいえないと思われます。ただ、いわゆるネチケットには反することになります。なお、リンクが認められている場合でも、相手方の名誉を毀損したり侮辱するようなリンクは違法となる可能性があります。またフレームを利用する場合に相手方の同一性保持権(著作権法20条)の侵害となる場合がありますので注意が必要です。

Q32他人の個人情報(住所や電話番号など)を公開するのは?
A 現行法上は刑事上の責任は発生しませんが、プライバシー権の侵害として民事上違法となる場合があります。個人情報をHPに載せることは、それだけでは人の社会一般の評価を侵害することにはなりませんので名誉毀損罪は成立しません。しかしながら、氏名、住所、電話番号などの個人情報は、その人自身がコントロールすべきであると考えられており、本人の許可なく、何ら正当な理由なく個人情報を公開するのは、プライバシー権の侵害となり得ます。また、電話帳などで氏名・住所・電話番号が公開されているからといってHP上に公開してよいということにはなりませんので注意が必要です。

Q44WAREZソフトをそれと知らずにダウンロードすると?
A いわゆるWAREZソフトをサーバにアップロードすることは、著作権者の複製権、公衆送信権を侵害し違法です。ダウンロードすることはサーバから自分のコンピュータのハードディスクにプログラムを複製することになりますから、著作権者の複製権の侵害となるかですが、私的使用を目的とする複製は違法ではありません(著作権法30条)。したがって、私的使用を目的とする限りWAREZソフトをダウンロードすること自体は違法ではありません。違法ではないからといってWAREZソフトを積極的にダウンロードすることはやめるべきでしょう。

Q45WAREZソフトを違法と知りながらダウンロードすると?
A WAREZソフトと知ってダウンロードした場合でも、ダウンロードが私的使用を目的とする限り、Q44と同様に違法ではありません。なお私的使用を目的としないでダウンロードする場合には著作権法30条の適用はありませんので違法な複製ということになるでしょう。

2015年8月19日 (水)

昔の原稿2007年2月版(ドメイン差押え)

 

2007年2月に書いた雑誌用の原稿です。ご参考までに。

なお、当時の法律等に基づいていますので現在の法律や判例、ガイドライン、解釈と異なる可能性があります。

あくまで「過去の原稿」ということをご了承ください。

ドメインまで差し押さえることって本当に可能?

 

 

 

例えば、裁判で勝訴が確定したにも関わらず、被告がお金を支払ってくれない場合に、原告が裁判所などに被告の財産(銀行預金や不動産や給料など)を勝手に処分できないように申し立てをして(差押え)、さらにその財産を売却するなどして(例えば競売)、お金に換えて、そこから原告は支払いを受ける、という強制手段を採ることがあります(強制執行の一種である「金銭執行」。なお、裁判の前に財産を保全する場合には「仮差押え」といいます)。金銭執行の対象となるのは、「不動産」「船舶」「動産」「債権」「その他の財産権」などです。

 

ドメインが金銭執行の対象となりうるかを検討してみましょう。ドメインは、所有権や財産権ではなく、債権的な性質にすぎないものとされています(東京地裁平成14年5月30日判決)。この判決の中では、ドメイン名は、インターネット利用者とドメイン名登録機関との間で締結された登録規則を内容(契約約款)とする私的な契約を根拠に付与されるものであり、ドメイン名登録者は、ドメイン名登録機関に対して有する債権契約上の権利としてドメイン名を使用するものであって、ドメイン名について登録者が有する権利はドメイン名登録機関に対する債権的な権利にすぎないとされています。このような債権的なものでも金銭執行の対象となるかですが、「その他の財産権」(民事執行法167条1項)とされる可能性もあるでしょう。

 

 

 

また、「.net」のようなgTLDのドメイン登録機関(レジストリ)は米国のVeriSign社です。日本の裁判所に強制執行を申し立てるのでしょうか、それともアメリカの裁判所に申し立てるのでしょうか。日本の判決をアメリカで承認してもらってアメリカで執行するという手もあるかもしれません。日本の裁判所でできるとして、手続きの途中で登録者が勝手に変更されないように日本の裁判所が差押命令をだした場合、米国のレジストリを拘束することができるのか。どちらの国であってもドメインを競売して買い主が代金を支払う、あるいは債権者にドメインが譲渡されるという場合に、譲渡を受けた者にドメインを移転する手続きは具体的にはどのようにするのか、などの問題がたくさんあり、やってみないとよくわからない、つまり事実上はかなり困難ということになるでしょう。

 

 

 

一切の賠償命令を意識的に無視し続けている件について

 

 

 

 債権者(勝訴した原告など)が債務者(被告など)の名義になっている資産を発見したのであれば強制執行が可能です。ただ、どうやって見つけるのかという問題があります。興信所を使うという手もありますが、名義が債務者になっていなければ発見は困難でしょう(費用をたくさん使えば探し出してくれるかもしれませんが)。例えば、債務者名義の海外の銀行預金口座があったとしても発見することは困難ではないでしょうか。仮に債権者が債務者の破産を申し立て、裁判所が破産開始決定をだした場合、管財人が債務者の財産を調査するということも考えられます。管財人が国内金融機関に対して債務者の口座がないか照会することも考えられます(債務者本人名義のものだけです)。債務者宛の郵便物は郵便局から管財人に転送されますから、その郵便物の中に海外の証券会社や銀行などの金融機関からの取引明細書などが含まれていれば海外の口座を発見することはできるでしょう。また、国内に不動産があれば固定資産税の書類などが市役所などから登記上の不動産所有者宛に送付されますから、そこから不動産を発見できるという可能性もあります(債務者本人名義のものだけです)。結局のところ、本人名義でなければ管財人も原則として発見もできないでしょうし手も出せないでしょう。もともと本人名義だったものが第三者に仮装譲渡されている痕跡を管財人が発見すれば、仮装譲渡を取り消して、管財人が管理するということも考えられますが、これも痕跡が残っていればの話で、現実には難しい話でしょう。

 

 

 

海外に資産を移すなど対抗策を講じて、逃げ切るつもりらしいけど、

 

それで逃げ切れるものなの?

 

 

 

 あくまで一般論でいえば、債権者が債務者の財産を発見できないということもありうるでしょう。最近は日本ではなじみのないような海外の銀行や証券会社に資産を移動するという例も多く、一般的に行われているようです。海外投資に関する本もたくさん出ています。「日本の税務署に資金移動を把握されても何にも問題はないが、債権者には知られたくない」という考えであれば、日本国内から海外に送金するということもあまり多くの問題を抱えずに実行できると思われます(日本で暮らしている人が税務署に知られずにいわゆるタックス・ヘイブンで税金を逃れて運用したい、という脱税のような目的であればともかく、日本の債権者から逃れたいというだけの目的であれば、海外投資に詳しい人であれば特に苦労なく、いろいろ手段を思いつくはずですし、お金を出せばもっとよい方法を考えてくれる専門家もいるでしょう)。これを探し出すとしても、かなりのコストと時間がかかり、事実上難しいのではないでしょうか。

 

 

 

条文

 

民事執行法

 

(その他の財産権に対する強制執行)

 

第百六十七条  不動産、船舶、動産及び債権以外の財産権(以下この条において「その他の財産権」という。)に対する強制執行については、特別の定めがあるもののほか、債権執行の例による。

 

  その他の財産権で権利の移転について登記等を要するものは、強制執行の管轄については、その登記等の地にあるものとする。

 

  その他の財産権で第三債務者又はこれに準ずる者がないものに対する差押えの効力は、差押命令が債務者に送達された時に生ずる。

 

  その他の財産権で権利の移転について登記等を要するものについて差押えの登記等が差押命令の送達前にされた場合には、差押えの効力は、差押えの登記等がされた時に生ずる。ただし、その他の財産権で権利の処分の制限について登記等をしなければその効力が生じないものに対する差押えの効力は、差押えの登記等が差押命令の送達後にされた場合においても、差押えの登記等がされた時に生ずる。

 

  第四十八条、第五十四条及び第八十二条の規定は、権利の移転について登記等を要するその他の財産権の強制執行に関する登記等について準用する。

 

2015年8月18日 (火)

昔の原稿2007年1月版(個人情報漏洩)

2007年1月に書いた雑誌用の原稿です。ご参考までに。

なお、当時の法律等に基づいていますので現在の法律や判例、ガイドライン、解釈と異なる可能性があります。

あくまで「過去の原稿」ということをご了承ください

・ある企業から私の個人情報を漏洩してしまったという謝罪メールが

 届いたけど、このメール1通で終わり?そんなのってアリ?

 

 企業から漏洩した個人情報といってもさまざまなものが考えられます。単にダイレクトメールを送るための住所や氏名だけということも考えられますし、年齢や趣味、商品の購入歴やアンケートに回答した内容まで含まれるということもあります。あまり人に知られたくないような趣味や病歴などというものも含まれている可能性もあるでしょう。またクレジットカードの番号や有効期限といった情報も流出の可能性があります。

 企業から謝罪メールが送られてきたという場合には、どのような情報がいつ流出したのか、流出したルートはどうなっているのか、流出の原因は何なのかということを知っておくべきでしょう。どのような情報が流出したかによって、個人情報の主体である個人がこれから採るべき行動が異なります。メールアドレスが流出していればスパムメールなどが増える可能性がありますし、クレジットカードの番号・有効期限が流出した場合には不正利用の可能性も高まります。

 個人情報の主体が流出後にどのように対応してよいかわからないような謝罪メールしか送られてこないのであれば、その企業にどのような情報が流出したのかを問い合わせるべきでしょう。また、個人情報保護法31条は「個人情報取扱事業者は、個人情報の取扱いに関する苦情の適切かつ迅速な処理に努めなければならない」と規定していますので、企業側も問い合わせに対しては適切に対応すべきでしょう。

 

・自分の個人情報が企業や店舗から流出した場合、損害賠償って可能なの?

 

 流出の原因が企業側にあると判断されれば損害賠償請求も可能です。

 平成18年5月19日大阪地方裁判所はヤフーBB会員の個人情報流出事件に関する判決の中で「被告BBテクノロジーは,本件リモートメンテナンスサーバーを設置して本件顧客データベースサーバー等のサーバーへのリモートアクセスを行うことを可能にするに当たり,外部からの不正アクセスを防止するための相当な措置を講ずべき注意義務を怠った過失があり,同過失により本件不正取得を防ぐことができず,原告らの個人情報が第三者により不正に取得されるに至ったというべきである。したがって,同被告は,原告らに対し,本件不正取得により原告らの被った損害を賠償すべき不法行為責任がある。」として、原告らの精神的苦痛に対する慰謝料として1人あたり5000円の慰謝料と弁護士費用として1000円、合計6000円の損害賠償を認めています。個人情報の流出の結果、二次的な被害が発生したり個人情報の内容によっては損害賠償の額も異なってくると考えられます。

 

・自分の個人情報があちこちの掲示板に書き込まれていた。

犯人を見つけるにはどうしたらいいの?

 

 掲示板に無断で個人情報を掲載することは、プライバシー権の侵害に該当し違法であり、掲載した者は不法行為責任(民法709条)を負うものと解されます。掲示板の書き込みや他の情報から加害者が特定できれば何も問題ないのですが、匿名掲示板の書き込みから加害者の情報を得ることは非常に困難です。このような場合に加害者を特定するために、プロバイダー責任制限法では、被害者からプロバイダーや掲示板の主催者に対して発信者情報開示請求を認めています(同法4条)。

 被害者から開示請求を受けたプロバイダー等は、原則として発信者に開示するかどうかについて意見を聴かなければなりません(同法4条2項)。発信者が開示に同意すれば、プロバイダー等は開示請求をした被害者に対して発信者情報を開示することになります。

発信者が開示に同意しない場合にはプロバイダー等は、開示するかしないかの決断を迫られることになります。被害者がプロバイダー等に対して発信者情報の開示を請求しても回答を拒絶された場合には、プロバイダー等を被告として裁判で開示を請求することになります。

 なお、掲示板から個人情報を削除するようにプロバイダーなどに対して削除(送信防止措置といいます)の申出をすることも重要です。約款上、このような個人情報をプロバイダーが削除できるようになっているかもしれませんし、プロバイダー責任制限法上、一定の手続きを踏んでいれば、プロバイダーが情報を削除しても、情報の発信者に対して責任を負わないようになっているため、削除に応じてくれる可能性があるからです(書式などについてはこちらをご覧ください。http://www.isplaw.jp/)。

 

 

条文

プロバイダ責任制限法

(発信者情報の開示請求等)

第四条  特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、次の各号のいずれにも該当するときに限り、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下「開示関係役務提供者」という。)に対し、当該開示関係役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る発信者情報(氏名、住所その他の侵害情報の発信者の特定に資する情報であって総務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の開示を請求することができる。

  侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。

  当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。

  開示関係役務提供者は、前項の規定による開示の請求を受けたときは、当該開示の請求に係る侵害情報の発信者と連絡することができない場合その他特別の事情がある場合を除き、開示するかどうかについて当該発信者の意見を聴かなければならない。

  第一項の規定により発信者情報の開示を受けた者は、当該発信者情報をみだりに用いて、不当に当該発信者の名誉又は生活の平穏を害する行為をしてはならない。

  開示関係役務提供者は、第一項の規定による開示の請求に応じないことにより当該開示の請求をした者に生じた損害については、故意又は重大な過失がある場合でなければ、賠償の責めに任じない。ただし、当該開示関係役務提供者が当該開示の請求に係る侵害情報の発信者である場合は、この限りでない。

2015年8月17日 (月)

昔の原稿2006年11月版(ライブカメラ、肖像権、プライバシー)

2006年11月に書いた雑誌用の原稿です。ご参考までに。

なお、当時の法律等に基づいていますので現在の法律や判例、ガイドライン、解釈と異なる可能性があります。

あくまで「過去の原稿」ということをご了承ください

・幼稚園や保育園、あるいは職場やホテルなどのライブカメラ映像を誰でも見られるようにしておくのは問題ない行為なのか?

 

 幼稚園や保育園の場合「子供が園内でどんな様子でいるのか見たい」という親の希望によって、親などの限られた範囲に対してだけ園内の様子をライブカメラで配信したりすることもあるようです。また、職場やホテルなどの場合にも、犯罪の防止、あるいは犯罪や事故が起こった場合の事後の対処などのために防犯カメラを設置し、録画することもあるようです。さらに、銀行やクレジットカードのATMにも不正利用の防止、不正利用があった場合の事後的な対処のためにカメラが設置され写真が撮影されているそうです。

 防犯カメラやライブカメラの設置によって個人の肖像権やプライバシー権(憲法13条)が侵害されるおそれは十分に考えられます(杉並区のように防犯カメラの設置、利用について条例を設けている自治体もあります)。防犯カメラやライブカメラによる撮影が違法かどうかは、撮影の場所、目的や必要性、方法が相当であるかなどを検討して判断されると考えられます。撮影の目的として、犯罪への対処、顧客に対する情報提供、などが考えられます。方法としても、カメラがあることの掲示の有無、目に触れる状態でのカメラの設置、隠し撮り、固定カメラ、特定の人物を追跡して撮影(チェイシング)、ズームなど様々な方法が考えられます。

 裁判で問題になった事例としてはコンビニエンスストアが防犯カメラで店内を撮影・録画し一定期間保管していたことが問題になったものがあります。この裁判では、犯罪や事故に対処する目的には相当性や必要性があり、カメラも客の目に触れる状態で設置され、ビデオテープが定期的に消去されていることなどの事情から、方法についても相当性があり、違法ではないと判断されています。違法と判断された裁判例としては、夫が契約しているクレジットカード会社が妻に対して現金自動貸付機が撮影した写真(夫の写真だけでなく夫と一緒にいた女性の写真)を(第三者利用の疑いがあり確認のため)送付したところ、一緒にいた女性がカード会社に損害賠償を請求し、裁判所がこれを認めたというものがあります。不正利用の確認という目的からすれば、夫本人だけが写っている写真を妻に送れば十分に確認でき、女性の写真まで送ることは違法であるということです。このように、実際の裁判では、撮影の場所、撮影の目的や方法、撮影後の処理などを総合的に考慮して違法か合法かが判断されることになります。

 ご質問のケースの場合、幼稚園や保育園であれば両親や祖父母などに限定せずライブカメラの映像を公開することは違法となる可能性があります(民法709条の不法行為責任だけでなく個人情報保護の問題もあります)。職場やホテルの場合でも防犯目的などの場合で、職員や宿泊者のプライバシーに十分配慮し、防犯担当者だけがモニターで確認したり、録画した映像も一定期間で消去するなどの配慮をしなければ、合法とはいえないと考えます。防犯目的か否かに関わらず、撮影される側の同意がある場合や、ライブカメラが設置されていることや映像を誰でも見ることができることなどをわかりやすく明示してカメラが設置され、写りたくない人が撮影されることを強制されていないのであれば、必ずしも違法とはいえないでしょう。

 

 IDやパスワードが設定されているライブカメラの映像を保存して、自分のホームページや動画共有サイトにアップロードするのは違法か?

 

ライブカメラで何を撮影しているかにもよりますが、プライバシーを侵害するような画像の場合には、アップロードする行為は違法となるでしょう。プライバシーを侵害しなくとも映像に他人の著作物が混入しているような場合には、著作権者の複製権(著作権法21条)や公衆送信権(著作権法23条)を侵害することもあります。

ライブカメラを設置した人の権利を侵害するかを検討してみましょう。ライブカメラを設置しただけでは通常は写真や映画の著作物を創作したとはいえません。したがってライブカメラを設置した人物に著作権は発生していないと思われます。ライブカメラの映像は一種の生中継ですが、生中継はテレビ局が放送した場合に著作隣接権として保護されるので単なるライブカメラの設置者には著作隣接権も発生しません。したがって、ライブカメラの設置者の権利は通常は侵害されていないといえます。IDやパスワードの交付を受けた際に「映像を保存したりアップロードしてはならない」との条件が付けられていた場合には、契約に違反することになるので債務不履行責任が発生する場合はあるでしょう。

 

IDとパスワードを設定していない場合、ライブカメラ映像をアップロードされても何も言えないのか?

 

 ライブカメラの映像の中に著作物やプライバシー権を侵害するようなものが写りこんでいれば、著作権侵害を受けた人、プライバシー権を侵害された人が損害賠償を請求したり場合によっては差止請求することができますが、ライブカメラの設置者自身には特に権利が発生していません。もし、無断転用などを防止したいのであれば、規約を明示、同意させた上で利用させ、無断転用を債務不履行とするか、IDやパスワードを発行して、無断転用するような人の再利用を防止する手段くらいしかないでしょう。

 

 

憲法

第十三条  すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 

民法

(不法行為による損害賠償)

第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

著作権法

(複製権)

第二十一条  著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。

(公衆送信権等)

第二十三条  著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。

  著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。

2015年8月12日 (水)

昔の原稿2006年10月版(著作権の保護期間)

2006年10月に書いた雑誌用の原稿です。ご参考までに。

なお、当時の法律等に基づいていますので現在の法律や判例、ガイドライン、解釈と異なる可能性があります。

あくまで「過去の原稿」ということをご了承ください

青空文庫のように過去の文学作品を公開しているサイトは著作権法上、問題がないのか?

 

 著作権の存続期間は、原則として著作者の生存している間はもちろん、著作者の死後50年間です。この期間が経過した後はいわゆるパブリックドメインとして利用できる状態になりますから、一定の例外を除き、公開することができると考えられます。

 

著作権保護期間とは何か?

 

 著作権法は、「文化の発展に寄与することを目的」(著作権法1条)としています。著作者に著作権を独占させて、創作する意欲を保護しているともいえます。一方、著作物がそれまでの文化や創造の積み重ねの上に成り立っている以上、いつまでも著作者に権利を独占させることは逆に文化の発展を阻害する結果になりかねません。そこで、著作権法は保護期間を設けて、著作権を独占できる期間を限定しています。著作権に限らず、特許や実用新案にも存続期間が設けられています。

 著作権の保護期間は、著作物が創作されたときから、著作者の「死後」50年を経過するまでの間と定められています(同法51条)。会社などの法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作権の存続期間は、「公表後」50年を経過するまでの間と定められています(同法53条1項)。最近、「ローマの休日」のDVDの販売差止騒動などで報道されているとおり、映画の著作物の保護期間は公表後50年から70年に延長されています(同法54条1項)。

 保護期間の計算方法ですが、著作者が死亡した年、または著作物が公表され、もしくは創作された年の翌年から起算します(同法57条)。例えば、2006年11月に著作者が死亡した場合、その著作物の保護期間は2007年1月1日から起算して50年間、つまり、2056年12月31日の夜中12時の経過までということになります。

 

著作権が切れた映画や制作会社がすでに存在しないゲームをファイル共有でアップロードしても問題がないのか?

 

 著作権の保護期間が経過した映画については原則としてアップロードしても問題はないといえます。なお、「著作権」の保護期間が経過したとしても「著作者人格権」は保護期間がありません。著作者人格権を侵害するような行為は、条文の文言上は永遠に禁止されています(同法60条本文)。著作者人格権は具体的には公表権(同法18条1項)、氏名表示権(同法19条1項)、同一性保持権(同法20条1項)などです。ですから、例えば、著作権が切れているとしても、著作物を改変して同一性保持権を侵害することはできません。もっとも、形式的には著作者人格権の侵害に該当するとしても、実質的には特に問題がないといえるケースもあると思われます。そこで著作権法は「その行為の性質及び程度、社会的事情の変動その他によりその行為が当該著作者の意を害しないと認められる場合は、この限りでない。」(同法60条但書)と定めており一定の場合には許されるものとしています。

 制作会社がすでに存在しないゲームの場合ですが、この場合には慎重に判断する必要があります。

 まず、著作権が消滅しているかどうかを判断する必要があります。実は、著作権法62条は、著作権の消滅について規定しています。例えば、著作権者が死亡して、相続人がなく、相続財産が国庫に帰属するような場合や、著作権者である会社などの法人が解散して、その財産が国庫に帰属するような場合です。このような場合に、著作権を国有財産として国が著作権を行使するのではなく、いわゆるパブリックドメインとして広く利用できるようにしているのです。

 会社などの法人が存在しなくなった、というケースの場合、いろいろなケースが考えられます。例えば、どこかの会社に吸収されてしまった場合、単に社名が変わっただけの場合、事実上休眠状態になってそのまま数年たっている場合、倒産してしまった場合、清算の手続きをした場合などです。

 どこかの会社に吸収されてしまったり、単に社名が変わっただけの場合であれば、著作権は消滅していないと考えられますから、アップロードすることは違法ということになります。事実上休眠状態になってしまったケースですが、休眠しているだけでは、著作権は消滅していません。清算の手続きを終了した場合ですが、終了する前にどこか別に会社に著作権を譲渡している可能性もあります。また、著作権が質権などの担保の目的物となっている場合もあるでしょう。このような場合にはやはり著作権は消滅していないと考えられます。倒産した場合には、破産管財人などが著作権を同業者などに譲渡しているということも考えられます。

 会社が著作権者の場合、正式に国庫に帰属するような状態になっているとしても、それ以前に著作権を譲渡しているのではないか、担保になっているのではないか、などの確認がよっぽどしっかりできているのでなければ著作権が消滅したとはいえないでしょう。安易に著作権が消滅したと思いこんでゲームをアップロードした結果、違法と判断される可能性があります。制作会社がすでに存在しないからといってゲームをアップロードするのはやめるべきでしょう。

 

条文

著作権法

(保護期間の原則)

第五十一条  著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる。

  著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。次条第一項において同じ。)五十年を経過するまでの間、存続する。

(団体名義の著作物の保護期間)

第五十三条  法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作権は、その著作物の公表後五十年(その著作物がその創作後五十年以内に公表されなかつたときは、その創作後五十年)を経過するまでの間、存続する。

  略

  略

 

(映画の著作物の保護期間)

第五十四条  映画の著作物の著作権は、その著作物の公表後七十年(その著作物がその創作後七十年以内に公表されなかつたときは、その創作後七十年)を経過するまでの間、存続する。

  略

3  略

 

(相続人の不存在の場合等における著作権の消滅)

第六十二条  著作権は、次に掲げる場合には、消滅する。

  著作権者が死亡した場合において、その著作権が民法 (明治二十九年法律第八十九号)第九百五十九条 (残余財産の国庫への帰属)の規定により国庫に帰属すべきこととなるとき。

  著作権者である法人が解散した場合において、その著作権が民法第七十二条第三項 (残余財産の国庫への帰属)その他これに準ずる法律の規定により国庫に帰属すべきこととなるとき。

  略

2015年8月11日 (火)

昔の原稿2006年9月版(匿名掲示板の犯罪予告)

 

2006年9月に書いた雑誌用の原稿です。ご参考までに。

なお、当時の法律等に基づいていますので現在の法律や判例、ガイドライン、解釈と異なる可能性があります。

あくまで「過去の原稿」ということをご了承ください

匿名掲示板の犯罪予告

2ちゃんねるなどの匿名掲示板で「●●を爆破する」「○○を殺す」と書いただけでも違法行為か?

 

 例えば、実在する建物や施設を爆破するなどと書き込んだり、実在する人物(「○○小学校の小学生」とか「○○株式会社の社員」といった特定の範囲の多数の人物の場合も含みます)を「殺す」などと書き込む場合には、違法となると考えられます。

 まず、実在する建物や施設を爆破するなどという書き込みがあった場合ですが、威力業務妨害罪(刑法234条)が成立する可能性があります。「威力」という言葉からは強い力を使って業務を妨害することを思い浮かべるかもしれませんが、法律上の「威力」というのは「人の意思を制圧するような勢力を用いる」場合を広く意味しています。例えば、満員の食堂にヘビを投げ込んで大混乱に陥らせた場合には威力業務妨害罪が成立するとした判例もあります。

匿名掲示板に「●●を爆破する」と書き込まれた対象が例えば空港や鉄道などといった公共機関の場合には、テロが懸念される現在の状況では設備の責任者としても書き込みを無視できないケースが多いと思われます。警察に通報して爆発物を捜索してもらったり、一時的に飛行機や電車の運行を停止したりすることにもなるでしょう。書き込みという一種の力を用いて設備の責任者や営業主体の意思(本来は通常どおり運行を継続したいという意思)を制圧する結果を招いているということになります。したがって、威力業務妨害罪が成立するということになります。

では「○○を殺す」といった書き込みがなされた場合にはどうでしょうか。○○さんが実在の人物であったり、特定の多数の人物であったりしても、対象となった○○さんや、その家族は「恐ろしい」という気分になるでしょう。このような書き込みは脅迫罪(刑法222条)に該当することになります。

また「○○を殺す」と書き込まれた○○さんが有名人の場合には、○○さんが関係するイベントが中止になったりするなど仕事にも影響する可能性があります。このような場合には威力業務妨害罪も成立する可能性もあります。

民事の面でも不法行為(民法709条)が成立し、損害賠償を請求される可能性もあります。

 

・犯罪予告の書き込みで逮捕された人間は複数いるが、犯罪予告の書き込みがあった掲示板の管理者は、書き込み者の個人情報を公開しなければならないのか?

 

 書き込み者の個人情報を開示したり公開することは原則として通信の秘密(憲法21条2項、電気通信事業法4条)を侵害し違法になるというのが原則となる考え方です(個人情報保護法上違法になるという側面もあります)。もちろん裁判所が発行した令状がある場合には個人情報を開示しても裁判所の令状に従っているだけですから法令に基づく正当な行為と判断され、開示には違法性がないと考えられます(刑法35条、個人情報保護法23条1項1号)。例えば、書き込みが脅迫罪、威力業務妨害罪、名誉毀損罪など犯罪行為に該当すると考えられる場合には、警察は裁判所から捜索差押令状の発付を受けることになるでしょう。管理者には警察から令状を提示されても個人情報を開示する義務があるわけではありませんが、令状があるにもかかわらず開示しない場合には、警察がサーバーやログが納められた記憶装置などを差し押さえて持って行ってしまいますから、事実上は開示義務があると考えてもよいかもしれません。

 自殺予告などの場合はどうでしょうか。自殺は我が国では犯罪ではありません。ただ、自殺予告を放置しておくことは人命保護の観点からは問題であり、自殺を防止することが警察やプロバイダ、掲示板の管理者に期待されていると考えられます。そこで、現在では「インターネット上の自殺予告事案に関するガイドライン」が業界団体において定められており、緊急避難(刑法37条1項本文)に該当する場合には、開示する義務はないが警察からの照会に基づいて開示をしても違法性はないと考えられています。

 

HNを使わず、インターネットカフェから書き込めば、特定できないのでは?

 

 警察がIPアドレスを追跡し、仮にインターネットカフェから書き込んだことが判明したという場合には、書き込み者の特定は困難であると考えられます。しかしながら、インターネットカフェからの違法な書き込みに限らず、不正アクセス、ネット上の詐欺など犯罪行為がインターネットカフェを踏み台にして頻繁に起これば警察としても対策を考えますし、インターネットカフェとしてもインターネットカフェがネット犯罪の温床であると指摘されることをおそれて対策を考えることになるでしょう。

 例えば、警察当局からインターネットカフェに対する防犯指導が行われたりすることもありますし、インターネットカフェ側も入店時、会員登録時に身分証明書を求めたり、置き引きや万引きなどへの対策として監視カメラの設置なども行われているようです。また、特定の匿名掲示板への書き込みができないようにするなどの対策が採られているケースもあるそうです。

 犯罪予告を愉快犯的に行うことは、逆にネット利用に対する規制を強めることにもなりかねません。無思慮な書き込みによって社会に迷惑をかけることがないようにしましょう。

 

刑法

(緊急避難)

第三十七条  自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。

  前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。

 

(脅迫)

第二百二十二条  生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

  親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

 

(信用毀損及び業務妨害)

第二百三十三条  虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 

(威力業務妨害)

第二百三十四条  威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

2015年8月10日 (月)

昔の原稿2006年8月版(ブラックウォーム)

2006年8月に書いた雑誌用の原稿です。ご参考までに。

なお、当時の法律等に基づいていますので現在の法律や判例、ガイドライン、解釈と異なる可能性があります。

あくまで「過去の原稿」ということをご了承ください

WinFixer」「WinAntiVirus のように、ユーザーのパソコンが深刻なトラ

ブルに陥っていると誤解させ、セキュリティ対策ソフトの購入を促すサイトは違

法ではないのか?

 

違法です。日本の法律を前提に検討してみましょう。

「ブラックウォーム」なる架空のウィルスに感染するおそれがあるからとウソの警告を発してウィルス対策用のソフトを購入させる行為は、そもそも刑法上の詐欺罪(刑法246条、罰則は10年以下の懲役)に該当するものと考えられます。国外から詐欺行為が行われて被害が日本で発生したような場合にも日本の刑法が適用されるかどうかが問題となりますが、日本で被害が発生している以上、犯罪構成事実の一部分が日本でなされたといえますから、日本の刑法の詐欺罪が成立すると考えてよいと思われます。

 刑法だけでなく民法の観点からみても、このような勧誘行為により利益を得ることは違法なものであり不法行為(民法709条)に該当するものと考えられます。

なお、クレジットカードの情報などを入力せず、ウィルス対策ソフトを購入しないですんだものの、試用版をインストールしてしまったため問題が発生することがあるようです。例えば、PCがスパイウェア、マルウェアなどに侵された状態になっており、該当するソフトがなかなかアンインストールできなかったり、PCの速度が非常に遅くなったりするなどPCの通常の利用が困難になったりする例があります。このような場合であれば、そのPCが業務に使用するものであるとすれば、刑法の電子計算機損壊等業務妨害罪(刑法234条の2、罰則は5年以下の懲役又は100万円以下の罰金)が成立する可能性もあります。また、民法の不法行為が成立し、損害賠償を請求できるでしょう(民法709条)。

 

・こうしたサイトでソフトウエアを購入するために個人情報を入力しても大丈

夫?

 

 大丈夫ではありません。氏名とカード番号などを悪徳業者に取得された場合には、不正に利用されるおそれがあります。例えば、今回の「WinFixer」「WinAntiVirus」のような不必要なソフトウエアの購入の支払いに1回だけ使われるのではなく、その後、カード番号を含んだ個人情報が売買されたり、不正取得されたカード番号を利用して偽の売上げをカード会社に架空請求するようなケースも考えられます。

 つまり、このようなサイトで個人情報を入力するということはフィッシングサイトと同じような結果を招くことになるのです。原則としては、インターネットではクレジットカード番号や氏名、住所などの個人情報を入力しないこと、入力する場合には信頼できるサイトであることを十分確認した場合に限定するべきでしょう。

 

・こうしたサイトの勧めでセキュリティ対策ソフトを購入してしまった場合、

返品は可能?

 

法律的には可能ですが、実際上難しいでしょう。

本件のようなウソの警告に基づいたセキュリティソフトの購入契約については、民法上の詐欺に該当するので契約を取り消すことができると考えられます(民法96条1項)。

民法のみならず、消費者契約法でも契約の取消しが可能であるかは問題点があります。消費者契約法4条1項本文は「消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。」と定め、同項1号は「重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認」と規定しています。

「勧誘」は、特定の者に対して向けられたものである必要があり、不特定の者に向けられたパンフレットやホームページなどを利用したものは「勧誘」には該当しないとされています。本件の場合には、アクセスしてきた者に対して、無差別的にウソの警告を発してソフト購入を促すわけですから、不特定の者に対して勧誘しているともいえそうです。したがって、「重要事項について事実と異なることを告げ」て購入を促しているが、この法律で定めている「勧誘」には該当しないという考え方もできます。ただ消費者契約法の目的である消費者保護の観点からは、このような警告を発してソフトの購入を促すことは「勧誘」に該当すると考えて、消費者契約法の適用があるべきでしょう。

消費者契約法の適用の有無に関わらず、民法96条1項によって契約の取消が可能ですから、法律的には契約の取消を主張して返金請求することは可能であるといえます。ただ法律でいくら契約の取消しが可能であっても実際にその通りに行くかどうかは別の問題です。実際にどこの業者が売主なのかよくわからないわけですから、連絡先になっているメールアドレス宛に、取消しを伝えるメールをいくら送っても返金を受けることはなかなか難しいのではないかと思われます。

 したがって、今後のクレジットカード情報の悪用を避けるためにも速やかにクレジットカード会社に連絡をとり、事情を説明し、使用を止めてもらう、カード番号を変更してもらうなどの対策をとってもらいましょう。

 

 

刑法

(電子計算機損壊等業務妨害)

第二百三十四条の二  人の業務に使用する電子計算機若しくはその用に供する電磁的記録を損壊し、若しくは人の業務に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与え、又はその他の方法により、電子計算機に使用目的に沿うべき動作をさせず、又は使用目的に反する動作をさせて、人の業務を妨害した者は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

 

(詐欺)

第二百四十六条  人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

  前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

 

民法

(詐欺又は強迫)

第九十六条  詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。

  相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。

  前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。

(不法行為による損害賠償)

第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

2015年8月 7日 (金)

昔の原稿2006年7月版(動画アップロードサイト)

2006年7月に書いた雑誌用の原稿です。ご参考までに。

なお、当時の法律等に基づいていますので現在の法律や判例、ガイドライン、解釈と異なる可能性があります。

あくまで「過去の原稿」ということをご了承ください

●動画アップロードサイト

・海外サイトに日本のTV番組など著作権のある動画をアップロードするのは違法?

 

 日本のテレビ番組、例えばドラマを権利者に無断でアップロードするような場合には、ドラマに関わる著作権者の公衆送信権(自動公衆送信の場合には送信可能化権を含む)や著作隣接権者の送信可能化権を侵害し違法となります。

ドラマは「映画の著作物」(著作権法2条3項、10条1項7号)に該当します。映画に関わる著作権者には、例えばテレビ局と放送番組制作会社(プロダクション)などがあります(同法16条、15条1項、29条1項など)。それだけではなく、原作者、脚本家、ドラマの中で使われる音楽の作曲家、作詞家なども、映画に関わる著作権者といえます(これらはクラシカル・オーサーと呼ばれています)。また、実演家(例えば、俳優、ドラマの中で使われる音楽を演奏する演奏家や歌手)には著作隣接権があります(同法2条1項4号、90条の2以下)。

 それぞれの著作権者には公衆送信権(同法23条)および複製権(同法21条)があります。公衆送信とは、公衆によって直接受信されることを目的として無線又は有線電気通信を行うことをいいます(同法2条1項7号の2)。具体的には、サーバーにおいたファイルをダウンロードさせることがこれに該当します。また、著作隣接権者には送信可能化権(同法2条1項9号の5、92条の2など)があります。送信可能化とは、自動公衆送信装置の記録媒体に情報を記録するなどして自動公衆送信し得るようにすることをいいます(同法2条1項9号の5)。具体的には、サーバーにファイルをおいてダウンロードできる状態にすることが該当します。ドラマの動画をアップロードすることは、サーバーに動画ファイルを複製し動画ファイルを送信可能化することですし、実際にダウンロードさせることは公衆送信をすることになりますから、これらの権利を侵害することになり、違法ということになります。

民事の面では、損害賠償責任(民法709条)を負うことになり、また権利者から差止請求を受ける可能性もあります(著作権法112条)。

刑事の面では、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金を科されることがあります(同法119条)。

 

 

・海外の動画アップロードサイトにアップされている著作権動画をダウンロードするのは違法?

 

 日本の著作権法を前提に考えてみましょう(海外で製作された映画などの動画は、ベルヌ条約などによって、日本の著作権法の保護が及ぶケースが多いと考えられます)。

 まず、動画の著作権者などの同意を得ずに動画をアップロードすることは著作権者の公衆送信権や複製権、著作隣接権者の送信可能化権を侵害することは前述のとおりです。

 では、アップロードされている動画をダウンロードすることは違法となるでしょうか。通常はダウンロードするだけでは、送信可能化にも自動公衆送信にも該当しません(Winnyのキャッシュなどの場合には該当する可能性がありますが)。ダウンロードするということは、サーバーにおいてあるファイルを自分のPCなどに複製するということになります。複製することは、著作権者の専有とされています(同法21条)。したがって、本来であれば、権利者の許諾がなければ複製権を侵害することになります。

 しかしながら、著作権法30条1項は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とするときは、技術的保護手段を回避したなどの場合を除いて、複製することを認めています。したがって、このような場合についてはダウンロードすることは違法ではないといえます。

 ただし、私的使用目的でダウンロードしたファイルであっても、私的使用目的以外の目的で使用する場合には複製権の侵害となりますし(同法49条1項1号、102条4項1号)、ダウンロードしたファイルがそのままファイル交換のためのフォルダに保管され、アップロードされるような状態におかれるとすれば(自分のPCがファイルを送信するように送信可能化されているとすれば)、ダウンロード行為であっても私的使用目的ではないと判断され、違法となる可能性がありますから注意が必要です。

 

・海外の動画アップロードサイトにアップされている個人撮影動画をダウンロードして、自分のHPにアップしてもよい?

 

 個人撮影の動画であっても、通常は「著作物」であり(同法2条1項1号)、「映画の著作物」に該当すると思われます(同法2条3項)。個人の撮影者は「著作者」であり、著作権者ということになります。

アップロードされた動画をダウンロードする行為は前述したとおり、私的使用目的である限りは複製権を侵害せず、違法とはいえません。

 しかしながら、著作権者である個人の撮影者の許諾を得ずに、ダウンロードした動画を自分のHPにアップロードする行為は、違法といえます。このような行為は、私的使用目的の範囲外ですから複製権の侵害ですし(同法49条1項1号)、アップロードする行為そのものも公衆送信権(同法23条1項)を侵害することになるからです。

YouTubeのような動画サイトの利用については、以上の点を注意してください。

 

 

条文

 

民法

(不法行為による損害賠償)

第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

著作権法

(複製権)

第二十一条  著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。

 

(公衆送信権等)

第二十三条  著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。

  著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。

 

(私的使用のための複製)

第三十条  著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。

  略

  技術的保護手段の回避(略)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合

 

第百十九条  次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

  著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害した者(略)

  略

2015年8月 5日 (水)

昔の原稿2006年5月版(ブログの著作権 )

2006年5月に書いた雑誌用の原稿です。ご参考までに。

なお、当時の法律等に基づいていますので現在の法律や判例、ガイドライン、解釈と異なる可能性があります。

あくまで「過去の原稿」ということをご了承ください

●ブログの著作権

・他人のブログのミラーサイトや掲示板のスレのまとめサイトを勝手に作るのは違法?

 

 ブログには文章、写真、イラストなどさまざまな要素が含まれています。「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」を著作物といいますが(著作権法2条1項1号)、ブログのこれらの要素は、それぞれ創作した者(通常はブログの開設者)が「思想又は感情を創作的に表現したもの」といえますから、それぞれが著作物といえますし、ブログ全体も著作物といえるでしょう。さらにコメントもコメントを書いた人の著作物といえるでしょう。

 ブログの著作権者(ブログに書き込みをした開設者やコメントを書き込んだ人)は、ブログの著作物について著作権を有しています。例えば、印刷したりコピーをとること(複製権、同法21条)、ブログをネットを通じて公開すること(公衆送信権、同法23条)、ブログの内容を要約したり変更すること(翻案権など、同法27条)などです。また、同一性保持権(同法20条)などの著作者人格権も有していることになります。

ブログの著作物について私的使用目的の複製はもちろん許容されています(著作権法30条1項)。また、ブログは広く人々に読んでもらうために公開しているのですから、ブログの開設者やコメントを書き込んだ人も私的使用目的(同法30条1項)でない印刷(例えば会社内での印刷)などについては許諾しているといえることが多いと思われます(複製を黙示的に許諾しているケース)。

 しかし、さすがにブログの著作権者も他人が勝手にミラーサイトを開設することまでも黙示的に許諾しているとはいえません。したがって、他人のブログのミラーサイトを勝手に開設することはブログの著作権者やコメントの著作権者の複製権や公衆送信権(送信可能化権を含む、同法23条)を侵害することになるでしょう。

 また、掲示板は、書き込みをしている人たちの著作物の集合体です。書き込みをしている人たちにも著作権はありますから、書き込みの条件として著作権を行使しないことなどが周知徹底されている場合を除いて、著作権者に無断で複製したり翻案したりすることはできません。したがって、掲示板のスレのまとめサイトを勝手に作るのは、書き込みをした人たちの複製権や翻案権、同一性保持権を侵害することになります。

 これらの侵害に対して権利者は差止請求をすることができますし(同法112条)、罰則もあります(同法119条)。

 

・トップページでなく特定の記事にリンクを貼るディープリンクは違法?

 

 URLは通常は、ネット上の住所なようなもので、著作物とはいえないと考えられています。したがって、どこにリンクを張ろうと特に著作権を侵害しないといわれています。もっとも「ディープリンクはやめて欲しい」と明示しているサイトについてわざわざディープリンクを張るのはマナー違反といわれていますので、このような場合には違法とはいえませんができるだけ避けるべきであろうと思います。

 

・ブログに本やCDジャケットのスキャン画像を貼るのは違法?

 

 本の表紙やCDジャケットについてもイラストを描いた人やデザインした人、出版社などが著作権を保有していると考えられます。これらの著作権者も複製権、公衆送信権を有していますから、著作権者に無断で本の表紙やCDジャケットをスキャンした画像ファイルをブログのサーバにアップロードすることは、法律上は著作権者の複製権や公衆送信権(送信可能化権を含む)を侵害することになるでしょう。これらの侵害に対して著作権者は差止請求をすることができますし(同法112条)、罰則もあります(同法119条)。

 もちろん、これは画像ファイルそのものをスキャンしブログに取り込んだ場合の話で、例えばネット書店に存在する画像ファイルなどにリンクを張って、画像ファイル自体は複製せずにブログ上に表示するということも考えられます。このような場合には、必ずしもブログの開設者が画像ファイルを複製したわけでもありませんし、画像ファイルを公衆送信しているわけでもありません。ですから通常は著作権を侵害しないものと考えます。ただ、あまりに度が過ぎていれば不法行為(民法709条)などの成立もあり得るかもしれません。

アフィリエイトなどの場合に、アフィリエイトプログラムの主催業者が指定している方法で、本やCDジャケットの画像を用いてブログに表示するケースの場合には、ブログの開設者が画像ファイルをダウンロードしたうえでブログから送信しているというよりは、アフィリエイトプログラムの主催者側の画像ファイルにリンクを張っている、つまり画像ファイルはアフィリエイトプログラムの主催業者が送信しているケースが多いと思います。信頼できる業者であれば業者の側で権利関係については処理しているものと考えられますから、このような場合には、権利者側の許諾があると考えてよいと思われます。

 

条文

著作権法

 

(同一性保持権)

第20条1項  著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。

 

(複製権)

第二十一条  著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。

 

(公衆送信権等)

第二十三条  著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。

  著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。

 

(翻訳権、翻案権等)

第二十七条  著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。

 

(差止請求権)

第112条1項  著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、その著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

 

(罰則)

第119条 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

1号  著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害した者(第三十条第一項(第百二条第一項において準用する場合を含む。)に定める私的使用の目的をもつて自ら著作物若しくは実演等の複製を行つた者、第百十三条第三項の規定により著作者人格権、著作権、実演家人格権若しくは著作隣接権(同条第四項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。第百二十条の二第三号において同じ。)を侵害する行為とみなされる行為を行つた者又は第百十三条第五項の規定により著作権若しくは著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)

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